岡村です。夜はひんやりしますね。
みなさんは季節の変わり目に外出しようとしたら、「ん?この感じ。この気温、この空気…何かを思い出せそう………秋だ~!!」
となることがありませんか?僕はあります。
今年の秋が来たときに思い出したのは、去年の秋の夜に飲んだ温かいコーヒーのこと。
僕にとって特別だったその1杯について、今回お話していきたいと思います。
せっかくなので学生時代のエピソードを交えつつ。
時間は2020年5月にさかのぼります。
僕は大学4年生で、この頃パソコンを使った本格的な楽曲制作に強く興味を持つ機会があり、勉強と実践の日々を送っていました。
コロナ渦でしたので遊びに出かけることもほとんどなく、部屋にこもってばかりいました。
そんなある時、しばらく会っていなかった友達がドライブに誘ってくれました。
彼もまた音楽をやっていて、目標を持って熱心に取り組んでいました。
大学に通っていた頃は頻繁に近況報告をしていたのですが、通わなくなってからは長いことできていませんでした。
そのため、久々に会うことになりました。
彼はコーヒーが大好きでした。
ドライブスルーでテイクアウトしてきたコーヒーを旅のお供に、お台場の海を目指しました。
僕は普段コーヒーなんて飲みませんでしたが、まねをして頼んでみました。
慣れないコーヒーはただただ苦かったです。
「コーヒー普段飲まないの?」
「飲めないことはないけど、自分からは頼まないかなぁ…」
お台場では公園を歩いたり、ZEPP TOKYOを見上げたり、海にいたカモの親子を眺めたりしました。
会っていなかった間の出来事の話でもちきりになったのはもちろんのこと、最近知り得た知識の共有もたくさんしました。
会う度にこんな風に新しい情報を持ち寄って教え合えたら、それは前進している証拠だし、
いつか自分たちは最強になれるんじゃないか?なんて話たりして、ワクワクしました。
同時に彼の話は、僕の努力はまだまだ甘かったとも感じさせました。
もっと頑張らなきゃと思いながら口にしたコーヒーの味はその時の感情のようで、悪くないかもなんて思っていました。
東京の街に沈んでいく太陽を見送りながらキザに飲み干して、お台場を後にしました。
その日は帰ってからあふれ出るアドレナリンとカフェインパワーで朝までバンドの作業をしていました。
その後も彼は、ラーメン、神社、温泉と、いろいろな場所へ連れて行ってくれました。
出かける度にどこかしらでコーヒーをテイクアウトしてきては、新たな発見を語り尽くしました。
僕は背伸びをしてコーヒーを飲んで帰ってくると、夜になって眠れなくなるところまでがセットでした。
※余談ですが、この影響でグリニッジに入社する4月まで、朝に寝て夕方に目が覚める生活が続きます。
そんな日々を繰り返していると、いつの間にか季節は春から夏、夏から秋へ。
大学の授業も終わり、やることといえば週に1回のグリニッジのアルバイトと、時々のウーバーイーツ配達のみ。
あれは片手で数えられるほどしかない、人生で心の底から自由を感じていた時期の1つです。
ある日、あることをきっかけに、どうして彼がそんなにコーヒーが好きなのかが発覚します。
それは2人で1曲作ってみようとなった時のことでした。
遊びの企画ではありましたが、作るときにはまずしっかりと、曲の方向性やテーマを定めました。
次に彼が曲の構成やコードを決めると、そこに僕がギターやベースの楽器を乗せたり、ドラムのアレンジを加えていきました。
歌詞はボーカルである彼が仕上げていて、あとは歌を録るだけとなったので聞いてみました。
「どこで歌録ろうか。スタジオ行く?それともウチの廊下にマイク立てる?」
すると彼は言いました。
「ウチの両親がカフェやってて、夜には閉まるから使えるよ。いつもそこで歌練習してるんだ。」
……なるほどの瞬間でした。それはコーヒーが好きになるし、詳しくもなるなと。
…てか家カフェってすごいな!!
気合のラーメンを胃に流し込み、カフェへと向かいました。
夜の誰もいないカフェ、まるで秘密基地のその雰囲気に、岡村少年(21)は大興奮。
ここならどんなに大きい声で歌っても平気だと、いつも練習しているように歌って見せてくれました。
僕は夜中少しでも鼻歌をフンフンと口ずさんでいると隣人に壁をたたかれてしまうので、それはそれはうらやましい限りでした…
持ってきた機材で簡易的なボーカルレコーディングブースを作り、レコーディング開始。
23時に始まり、終わったのは日をまたいで3時でした。
その日は彼の家に泊まることになりました。
すっかり夜は更けていましたが、2人ともアドレナリン大量放出状態のため、まったく眠くありませんでした。
すると彼は、お店でも使っているこだわりの豆と製法で、おつかれのコーヒーを淹れてくれました。
10月下旬のひんやりした空気とやり切った気持ち、疲れている体にマッチする最高な1杯でした。
僕の中のコーヒー評論家(駆け出し)がこう言っていました。
深いが且つ、無駄がない!!
でも本当に、そんな言葉が似合いました。
「インスタントと全然違うから!」と彼はインスタントも淹れてくれました。
いやいや。
インスタントの味はよく知っていました。
彼と遊ぶようになってコーヒーに興味を持ってからは、1人でも「うん。おいしい気がする」と言いながら飲んでいたからです。
比べながら飲んでみました。すると、なんということでしょう。
すっぱい…
全然違うじゃないかと評論家は度肝を抜かれました。
おそらくこの時、コーヒーのおいしさ、奥深さを覚えました。
これが僕をコーヒー沼へとズルズル引きずり込んだ記憶に残る1杯でした。
ここまでが、秋の空気でふと思い出した、コーヒーにまつわるお話です。
みなさんにも飲めるようになったきっかけやエピソードがあるのではないでしょうか。
今では毎朝、テレワークの始業前に、スターバックスのソロフィルターというものを使ってコーヒーを淹れています。 https://product.starbucks.co.jp/brewing/dripper/4524785458154/
挽かれた豆を買ってきて、お湯を入れるだけでおいしいコーヒーが完成するのでお勧めです。
豆の種類や分量、淹れ方によって味が変わるのも面白いです。
あの1杯にはまだまだ追いつけている気がしませんが。
彼のようにおいしいコーヒーを淹れられるようになりたいものです。
P.S.深夜にコーヒー飲み比べなんてしていれば僕はあの後に眠れたはずもなく。
対して彼はカフェイン耐性200%を兼ね備えていたので、小鳥がチュンチュン鳴きだして眩しいほどの光が差し込んでも爆睡でした。
退屈なんて感情は長らく感じていなかったのですが、「これが"退屈"か…!!」となっていたのも今では2020年の良い思い出。