お客様とのメールのやりとりや、書類の確認など文章を読んだり書いたりする仕事が多くあります。その中で注意したいのが言葉遣いです。
話している分には、気にならない言葉遣いが、文章にして改めてみると、違和感があったり、間違っていたりということがよくあるものです。私もご多分に漏れず、わからない言葉や、自分の伝えたいことをビジネスの文章でどういう言葉を使うのがいいかを調べることはよくあります。
そのように、気にしていると、テレビやYouTubeを見ているときに間違った言葉遣いをしているとどうしても気になってしまいます。
間違いやすい言葉遣いのコンテンツは、多くありますが、今回は、私の視点で、よく見る間違いを紹介したいと思います。
前半3つは、日常でよく耳にする間違いです。どれも、謙譲語と尊敬語の使い間違いですが、尊敬語を使うべき場面で、謙譲語を使っていることが多いようです。
拝見する
「拝見してください」と言っていることを、よく耳にします。「拝見する」が目上の人に対して使う謙譲語のため、「拝見してください」という言い方は本来ありません。目上の人に対しては、「ご覧になってください」というのが適切でしょう。
「拝見させていただく」という言い方もよく聞きますが、これも間違いです。「拝見する」自体が敬語になりますので、二重敬語になってしまいます。
頂く
これも、謙譲語と尊敬語の間違いです。食べ物を進めるときに、「頂いてください」と言っていることを耳にしますが、「お召し上がりください」が適切でしょう。
申す
「申す」も謙譲語ですので、「申してください」という言い方は、適切ではありません。「仰ってください」が適切ですね。
こんな間違いする人いるの!?と思う方は、普段からその場面で適切な言葉遣いができている方だと思います。
後半3つは、使う場面や使い方が間違いやすい言葉です。
ご活用ください
「活用」には、そのサービスや製品を使う人が積極的に、サービスや製品を活かして利用するという意味があります。「ご利用ください」とは違い、相手に対して「活かす」という行動を促す言葉になります。カジュアルな言葉に置き換えると違いが分かりやすいと思います。「使ってね」と「活かしてね」では、かなり、ニュアンスが違って聞こえるのではないでしょうか?
「ご活用ください」と言うと、若干、上から目線に聞こえてしまいますので、注意して使いましょう。
致しかねます
この言葉は、「致す」と「しかねる」から成り立っています。「致す」は「する」という意味で、「しかねる」は「しにくい、しづらい」という意味になります。「する」という語が入っていますので、言い換えると「するのが難しい」というニュアンスになります。
「しません」と言うニュアンスが入りますので、製品としてそもそもできないことや機能としてないことなど、意思が含まれない単なる可能・不可能を伝える場面には、適していません。
物理的にできないことを伝える場合は、「できかねます」と言うのが適切でしょう。
何様ですか?
こんな言い方する人はいないと、思われた方も多いかと思いますが、とっさの場面で使っているのを何度か目にしたことがあります。それは、電話でのやり取りで、相手の名前を聞くときです。「に」にアクセントを置いて、「何様ですか?」と言うと、相手も何を聞きたいかは理解してくれると思いますが、「お名前お伺いしてもよろしいでしょうか?」などと聞くのが、適切でしょう。
言葉遣いが正しくなくても、ほとんどの場合は、意味は通じると思います。しかし、より正しい言葉遣いをすることや、それぞれの場面で適切な言葉遣いをすることで、言いたいことをより正確に伝えることができたり、話に齟齬が生まれることを防ぐことができたりします。